伝習会 第28回
伝習会
〈 第二十八回 〉
【年四十にして悪まるるはそれ終わらんのみ】
論語(陽貨第十七)
(訳…人間、四十になっても、憎まれたり、嫌われたり、あれは駄目だね、と言われ
るようでは、もうお終しまいだ)
~ 孔子は、人間四十歳までに、原理原則、基本をしっかり身に付けなさ
いと、それには学ぶ以外にないと言っております。
私達は、社会人として、また人間として、生涯学ばなければならな
い学問は、大きく分けて二つあると思います。一つは【人間学】であ
り、もう一つは【時務学】又は、【実学】(社会人として、身につけなければなら
ない仕事、技術の学問)です。私達は社会人として、先ず、仕事のプロにな
らなければなりません。その為には、その道・仕事の学問・【時務学】・
【実学】を学ぶことは当然であり、絶対に必要なことです。しかし、私
達は、ただ仕事さえ出来れば、後は人に憎まれようが、嫌われようがど
うでも良い、ということでは決してありません。それでは人間失格です。 それには、最低でも、孔子の『五常の徳』仁、義、礼、智,信を身
につけ人格を向上する、学問・【人間学】を学ばなければならないと思
います。私達は生涯、【人間学】と【時務学】・【実学】を学び続けて、
孔子の言う、【それ終わらんのみ】の人間にならないようにしたいもの
です。また、孔子は、【四十、五十にして聞こゆるなきは畏るるに足ら
ざるのみ】(若い時から人格の修養に努め功業に励めば、当然名声も出てくるよう
にならなければならないが、それも聞こえてこないようでは、畏れるに与えしな
い人間である。)とも言っております。(第四十回参照)
五十、六十、七十になっても『悪まるる人間』には、もう付ける薬
はない、と孔子は言っているようです。~