伝習会 第30回
伝習会
〈 第三十回 〉
【 陰徳あれば必ず陽報あり 】……淮南子
(訳…人知れず良いことを行う者には、必ず目に見えて良いことが返ってくる)
~ 原文は【夫れ陰徳有る者は必ず陽報有り。陰行有る者は必ず昭名有り】
(人知れず善い事を行う者には必ず目に見えて善い事が帰ってくる。陰で良い行いを重ねているならば必ず輝かしい名が世間に知れるようになる)
この故事は第十四回でも少し書きました。【徳】が如何に大切か、ということで、第二十九回に続き、取り上げました。
【陰徳】とは、人が見ていようがいまいが、善い行いをすること。
【陽報】とは、はっきりと、それと分かる形でのお返し、報酬です。
では、誰が【陽報】を返してくれるかといいますと、それは天です。
善行を積めば、天は必ず見ていて下さって、いつか、其の努力に対してお返しがある事だと思います。だが、下心があったり、人が見ている時にだけ働いている振りをしたり、兎に角、物事を打算的な行動をとったり、何か良い報酬を期待した【陰徳】では、決して【陽報】は返ってこないことは当然です。【天網恢恢疎にして漏らさず】(第十回参照)です。【天の網】はとてつもなく大きいが、全てお見通しで、我々の行動は、どんな小さな事でも決して見逃しません。私達は、人が見ていようがいまいが、【陰徳】を積む心掛けが大切ではないでしょうか。決して、自らの人格を下げるような、【陽報】を期待した【陰徳】であってはなりません。~